読書マラソン『戦争の経済学』(池田)

9月に入り一冊目の本になります。初っ端から大当たりを引きました。

あとがきにもある通り、戦争を冷静にかつ経済学的に分析する本というものはそうそうないです。

戦争の話になると人はすぐに感情的になって、出来合いのお題目に頼りたがる。往々にしてそうした人々(特に日本の論者)は、戦争してみたいとか反戦争とか、あらかじめ魂胆を持っていて、魂胆に合わせて議論を系統的にゆがめてしまう。(あとがきから引用)

なるほど確かにあちらこちらで戦争に関する話を聞くが、右だの左だのというバイアスがかかっており、冷静な意見というものは少ない。 本書は、「国際紛争」や「国際政治」などのような政治学のテキストではなく、あくまでも経済学的見地から戦争というものを分析している。しかも、専門書で経済学を学んでいなければ読めないという代物ではなく、むしろ本書で経済学の基礎知識を習得することも可能である。 内容はどのようになっているかというと、大きく三部の構成になっている。第一部が「戦争の経済効果」であり、戦争というものを俯瞰的に、鉄則を用いて説明する。 第二部は、「軍隊の経済学」であり、軍事支出、総志願軍対徴兵軍、兵器市場の分析など軍にかかわる経済を分析する。 第三部は「安全保障の経済面」、とりわけ、内戦、テロリズム、大量破壊兵器を分析する。 初めにも述べたとおりあくまでも経済学的アプローチなので政治学のテキストでは目にすることのない斬新な内容が含まれている。内戦の原因は「経済」であることや、テロは本当に合理的なのか、大量破壊兵器、中でも核兵器の取引構造はどうなっているのか、が面白かった。

全部で400ページ弱と長く思えるかもしれないが、各章ごとに末にまとめとして、マクロ、ミクロ的な要点を箇条書きされていたり、キーワード、更には復習問題まで載せられており懇切丁寧である。海外の大学ではテキストとして使われていることもあるらしいです。

戦争というとすぐに持論を持ち出し思考停止してしまっている人がいれば本書を読むことを強くオススメします。