読書マラソン『危険な幻想 中国が民主化しなかったら世界はどうなる?』(kobayashi)

アメリカ国内の中国観に疑問を投げかける書。

著者のマンは「中国の経済発展が進めば、必然的に政治的自由化も進む」という前提にたった対中国政策を「気休めのシナリオ」、「近い将来、中国国内で秩序は崩壊し、政治的経済的な混乱に陥るであろう」とする「激動のシナリオ」とし、両者を批判する。

そこで「今後経済発展が続くが、政治的自由化は進まず、根本的な問題は何ら変わらない」という「第三のシナリオ」を検討するべきではないかと彼は主張する。先の二者が甘い考えに立っているという指摘にはある程度納得できるのだが、彼の言う「第三のシナリオ」に有力な根拠があるわけでもない。

とはいっても彼の問題提起、現状批判が意味のないものとは思えない。例えば「気休めのシナリオ」に基いた関与政策をとる場合にしても、関与する側が相手に取り込まれる可能性も考えられるように安易な楽観には落とし穴が待っていることをマンの指摘は気付かせてくれる。

「アメとムチ」、「関与と抑止」、「対話と交渉」というように、現実の人間関係にも当てはまることだが、悲観も楽観もしない「老獪さ」、「したたかさ」が中国と対峙する私たちに求められるのだと思うのだが、今の鳩山政権を見ているとそういった態度は希薄なように感じる。