ソビエト崩壊から第一期プーチン政権までの政財界の主導権争いを描くことで、不透明な現代ロシアを概観した書。袴田茂樹『現代ロシアを読み解く』(ちくま新書)と合わせて読むことで、「ロシア人」統治の独特さを心底味わうことになるだろう。
現代中国研究の第一人者による最新の入門書。著者には中国側の信任も厚く、学術レベルでの日中友好の旗手である。中国分析には定期的な「ニュートラル」への回帰が必須であるが、本書はそれに十分役立つ。中国を愛すゆえにこの一冊、憎むゆえにこの一冊。
東西統一後のドイツの思想史をまとめた一冊。世界が激動する中でドイツも多くの問題に直面した。それらの問題にハーバーマスら知識人が交わした議論が記されている。歴史問題など日本との共通点も多く、現代思想を学ぶためにも薦めたい。
本書は、著者がフランス滞在中に感じた日常生活上の疑問を取り上げている。政教分離、ストライキ、マクドナルドなどを通じて現在フランスが抱えている複雑な事情を、歴史・文化・政治社会の面から掘り下げながら紹介する。
一つの共同体を目指し、加盟国の東方拡大や欧州憲法の挫折を通じながら、壮大な実験を試行する欧州連合(EU)。この巨大組織の仕組みや現状を理解する助けとして、丁寧かつコンパクトにまとめられた入門書である。
「第三の道」の課題や野党のあり方についての地域「研究」書として本書は最適だが、木原誠二『英国大蔵省から見た日本』(文春新書)は、英国文化を「学びとる」姿勢が随所に表れており、地域研究をする上での重要な点を思い出させてくれる。
インドネシアといえば…、デヴィ夫人、バリ島、スマトラ沖地震。でもこのキーワード決して間違っていない。メガワティ前大統領はデヴィ夫人の義理の娘だし、バリ島の自爆テロも記憶に新しい。民族と宗教の間で揺れる世界最大のイスラム国を見てみよう。
永遠に語り継がれるだろう「9.11」に至る軌跡を、分極化したアラブ社会思想を丹念に読み解くことで、テロ以降の「自称アラブ通」によるアラブ論者とは一線を画した秀逸の作品となっている。これを読まずしてアラブを語るのはナンセンスだ。
フセイン登場から権力を握る過程、それとアメリカとの関係史を描く。イラク戦争を考えたい人はまず本書を手に取ってみては。最新刊『イラク 戦争と占領』(岩波新書)もあるがまずこちらから読むのがベターか。
ブッシュJr.大統領以後、アメリカ大統領の権力が格段に強くなっているように見えた。しかし本書は制度的・社会的観点から、大統領の権力は90年代からむしろ弱まっていると論じる。やや民主党よりの色は見えるが、記述は平易で視点も堅実、まさに新書かくあるべし、といった本。
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